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2009年2月21日(土)
名古屋フィルハーモニー交響楽団 第355回定期演奏会 (愛知県芸術劇場コンサートホール)

指揮:ティエリー・フィッシャー ピアノ独奏:小川典子

曲目
シューベルト:交響曲第7番ロ短調 D.759『未完成』
藤倉大:『アンペール』ピアノと管弦楽のための協奏曲*
[委嘱新作日本初演(英フィルハーモニア管弦楽団との共同委嘱)]
マーラー:交響曲第1番ニ長調


常任フィッシャーのタクトによる名フィル、2週連続の鑑賞です。

演奏開始前に新作委嘱された作曲家藤倉大氏のプレトーク。
彼の話を聞きながら名フィル委嘱史、その不運の歴史を思い出しておりました。
黛敏郎氏は作曲半ばにて死去。
定期演奏会では岩城宏之氏の指揮により作曲済みの20小節位が演奏されました。
その後三善晃氏による打楽器協奏曲の委嘱新作が沼尻竜典氏により初演されるはずが、
これは今もってどうなっているのか不明な状況。まあつまりは作曲されず。
三度目の正直が藤倉大氏。そんなことを頭の中に巡らせながら彼の話を聞いておりました。

会場はほぼ満席。
奏者が入場、見るとコンマスは客演の植村太郎氏。
プログラムに目を落とすと常任コンマスはこの日は降り番。
ふと自席の周囲を見渡すと、
私の前方、具体的には2階13列47番にコンマス日比氏がいらっしゃる。
先回の定期に引き続いての目撃。
さらには14列43番にはパーカスの菅生氏が。あれれと思ったら右手親指に包帯らしきものが。


そんななかフィッシャーが登場し、1曲目が始まります。
とても明晰、さわやかな、すっきりしたシューベルト。見通しが良く、良い意味で「軽い」。
変な「精神性」でこねくり回すことなく、
曲の構造・スコアの構成が眼前に具象として提示されるような演奏。
オケがそれに十分に応えている。ここがなければ曲として成立しないのだけど。
この日の名フィル、弦も管も非常に出来がよい。
濁ることなく、すっきりとしたサウンド。特にホルン・チェロが賞賛に値する出来映え。
この曲を聴き、常任フィッシャーはかなり「耳が良い」のでは?と感じました。

フィッシャーが理想とする・要求する音色にオケを持って行くことが出来る。
そのための方法論も持ち合わせている。その大前提となる「耳」を持っている・・・・

先週浜松でロミジュリを聴き、
なぜフィッシャーが振るとこんなに明晰にオケが響くのか?とずっと考えていたのですが、
シューベルトを聴き、なんとなく自分なりの解答が出たような気がします。
まあ、それが正しいかどうかはさておいてですが。

そう、これを書き忘れてはいけません。ティモシー・カーター氏のクラリネットの凄いこと
抑えめの渋い音色感を作り、歌心も抜群に演奏。上手いという段階を遙かに超えている演奏。



二曲目。藤倉氏の委嘱新作。
プレトークを聞き、いったいどんな曲なのだろうと期待指数が極限に。
導入部、武満にも似た書法による弦の響き。
その後ピアノが入り、それからの音の響きは典型的な「現代音楽」。
彼の曲は「聴く」ためものではなく、
そこで創り出される音空間や響きを「感じる」「体験する」ためのものなのかなあ。
曲の随所に題名の「Ampere」を感じさせる音が創り出されておりました。
私、この曲、とくに中盤以降を聞きながら
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』という、かの有名な小説を想起しておりました。
アンドロイドが見る夢、その夢にはこんな音が流れてるんじゃないだろか。。。。。
それが人間にとって心地よいかどうかは別問題なのですが。


休憩時に小川典子さんのサイン会がホワイエで開かれておりました。
せっかくなので小川典子さんを見物に。
ものすごく塗っているなあ。。。なんて感じたりしてまったく野次馬な私です。



さてメインのマーラー1番です。
開始前には藤倉氏が客席に登場。2階13列40番あたりに着席。

某巨大掲示板にて「速い」なんていう事前情報を入手しておりましたので、どんなもんだろ?
なんて興味津々でおりました。

1楽章。
全然速くない。と書くと不十分ですね。
導入部など遅いところはテンシュテット/シカゴ並み。1楽章については、そう速さも目立たず。
速さではなく、目立ったのは、特筆しなければならないのはホルンの出来映え
名フィル史上最高の出来だったのではないだろうか?そう思わせるくらいの出来映え。
弦も音色感など統一がとれており珠玉の出来映え。ホルン以外の管の出来もgood。
強いて気になった点を上げれば、ファゴットのトップがぱっとしなかったことかな。

2楽章。
コントラバスの冒頭、音価一杯に十分に、一音一音確認するように演奏されます。
とうぜんオケ全体でも同様に演奏され、フィッシャーの意志が感じられます。
中間部では妖艶になりすぎず・ためすぎずに、わりに爽やかに演奏。
ちょっと気になったんで2楽章から計時してみましたが、この楽章は8分29秒。
ただし自動巻のクロノグラフでの計時なので少々誤差はあるかもしれませんが参考までに。
終盤部、速くなるところは加速度がつきます。フィッシャー節炸裂という感じでしょうか。

3楽章。
某巨大掲示板にあったように冒頭コントラバスはセクションで演奏。
このあたりの狙いは何なのでしょうか。考えてみるとおもしろいのですがね。
フレールジャックのメロディ、オーボエだけが割に「ながして」いたのですよね。
他のパート・セクションではとてもデフォルメされた造型でしたのでちょいと不思議に感じました。
デフォルメされた造りが効いて、非常に世紀末的爛熟を感じさせてくれました。
この楽章は10分05秒。

4楽章。
すっかり興奮してしまいまして冷静に思い出すことが出来ません。時計止めるの忘れちゃったし。
そんな興奮の坩堝にたたき込まれるような演奏でした。
そんな曖昧な記憶の中から拾い出して書いてみます。

速いところが速いんです。終盤部が特に。
もう少しゆっくり、
ゆっくりというより、音を十分に鳴らしきった方がいいんじゃないかなと感じる部分はありました。
このあたりは曲の造りという点で論議があっても良いでしょう。
ただし、これはフィッシャーの幻想の時にも書いたことですが、
彼、フィッシャーは、本番で降りて来ちゃうんじゃないかな、ミューズの神が。
それも相まって速くなる、とは思うんですが。

金管楽器群、大健闘でした。
特にホルン、先ほども書きましたが私が経験した中で名フィル史上最高の出来だと思います。
トランペット、トップ藤島さん、いつもは「沈ん」じゃうのですが、
最後まで音のエッジがしっかりと立ってました。
1音だけミスっちゃってましたが、ありゃしょうがありません。事故です。
あれをどうのこうのいうのは金管楽器にとっては酷でしょう。
それを補って余りある出来でした。ブラヴォ!

弦、特にヴィオラが良かった。
普段目立たないヴィオラですが、しっかりと鳴らして踏ん張ってました。
今日の演奏、ヴィオラ・チェロなどの中音部がしっかりとしてたのが好演の原因だと思います。
ほんとうにブラヴォ!です。

全体として、常任フィッシャーの特徴である、見通し・分離の良さ、構造の明快さ等が十分に発揮され、さらには彼が「エキサイティングに曲を構成する」という側面がこの曲に相乗効果をもたらし、非常に満足のできる内容でした。


さて個人的は大興奮の演奏だったので、バンザ~イで終わっても良いのですが、
フィッシャーが1年任期延長するということなので、ちょっと将来のことについて個人的な思いを。

フィッシャーによって、ホントに一段階いやいや二段階も三段階もアップした名フィル。
この日の演奏に充実感・満足感を味わったのですが、
彼の任期延長というニュースをしり、この日の出来に満足した上で、
これからの名フィルに対して
演奏会が良かったという「瞬間的な快楽」だけで終わらせていいのだろうか、と思ったのです。
一愛好家のまったく持って余計なお世話的な思いなのですが、
せっかくの機会、チャンスですから、さらに高みを目指して欲しい。そんな思いを持つのです。
弦はもっともっと豊穣な響きを。管はつまらぬミスを減らして欲しい。
アンサンブルの精度をもっともっとあげて欲しい。
僕ら観客にとって一期一会な演奏会でもっともっと感動させて欲しい。
魂が抜け落ちて座席から立つことが出来ないような音楽を奏でて欲しい。
すぐには出来ないことは当然だけれど、フィッシャーがいる少なくともあと2年。
ほんの少しでも良いから、そんな境地に近づいていって欲しい。

無理にきまってる!と言うのは簡単。
でも現在の名フィル、
僕が最初に聴いた150回定期の時を思うととても想像できないような高みに到達してる。
あの頃いまの状態を考えた人はいないだろうし、考えたってどうせ無理だと思っただろう。

でも現在、こんな、あの頃想像も出来なかった高みにオケは存在している。
もっともっと高い場所へ、もっと豊かな場所へ僕たちを連れて行って欲しい。



そんな可能性さえ感じさせてくれたこの日の演奏、ホントに良かった。

この日はコンサート以外にもいろいろと充実してたんだけれど、それはまた別項で。



追記(2009年2月23日)

まりぬさんのブログ「アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ」によれば
3楽章冒頭コントラバスのメロディは「セクション全体で弾く」というのが1992年新校訂版での注釈とのこと。
またホルンのスタンディングについては以下のような注記もあるとのこと。

以下引用

「「ここから終わりまで、賛美歌ふうのコラールが他のすべての音を消してしまうほどの十分な音量に達するぐらいにホルンは音を強めることが望ましい。ホルン奏者たちは、最大の音量が得られるように、残らず立ち上がる。場合によっては、トランペット1本とトロンボーン1本を加えてもよい」(p.162,656小節)

引用ここまで

こんな指示があったとは!ホントに勉強になります。まりぬさん、ありがとうございます。
このホルンについての注記、テンシュテット指揮のシカゴはまさに「その通りの演奏」ですね。

【おぉ!】
BLADE RUNNERを想起させる曲ですか・・・・う~む、マジで、聞いてみたい・・・・・(^ ^;;)
【re:くうが君】
そうなんです。あの「世界」の音空間。。。。。

でも俺、もう一度っていったら考えちゃうかも(笑)
【こちらこそありがとうございます♪】
ぞろすのうさま、こんにちは!

取り急ぎ、こちらにコメントさせていただきます。
こちらこそ、ブログを紹介していただきありがとうございます!
ぜろすのうさまのお役に立つことができて嬉しゅうございます。

それにしても、マーラーでのホルンはすごかったですね!
ぜろすのうさまのおっしゃるとおり、私も「名フィル史上最高の出来」だと思いました。

ご紹介いただいた部分のコントラバスとホルンについては、ちょっと期待して出かけたのですが、両方堪能することができて、本当に夢のようなひとときでした♪


【まりぬ様】
引用許可ありがとうございます<(_ _)>。
ブログにも記しましたように、ほんと勉強になりました。
重ね重ねありがとうございました。

しかし名フィル、私たちは「良い局面」に立ち会っているんだなあと思ってます。
これからの名フィルの精進ぶりが楽しみですね。
【心打たれました】
はじめまして。
名古屋フィルの演奏評を巡っておりましたら、ぜろすのう様の熱い思いに感動を覚え、思わずコメントをしてしまいました。
少なくともこれから2年間のフィッシャー時代で、名フィルが更なる進化を遂げることは間違いないでしょう。日本に留まらず、世界に向けてフィッシャー&名フィルの存在をアピールできるほどになって欲しいですね。
それを支えるのは我々聴衆です。私も良い聴衆の一員でありたいと思います。
それにしても、土曜日のホルンは良かったですね。個人的には飯守時代最後の「ワルキューレ」以来だと感じました。
【kny_keee様】
はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
そればかりかものすごくうれしいコメントまでいただいてしまってほんと感激の至りです!

kny_keeeさんがお書きのように
名フィルの成長を支える良い聴衆・時には厳しい聴衆でありたいですよね。

しかしホルンは珠玉の出来でした。
そういえば飯盛氏の常任最後のコンサートは良かったですよねぇ。ホルンの出来も良かった。
今キーボード打ってて思い出したのですが、
ホルンといえばアツモンが「冬の日の幻想」やったときも良かった。あれは何年前だったんだろうか?
アツモン/名フィルの演奏も聴きたくなってしまいました。去年行ってないんですよね、アツモン。
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